大学病院との違い
同じ病院でも、形態によって仕事内容や職場環境は違います。ここでは大学病院に焦点をあて、様々な視点で総合病院と何が違うのか、比較していきます。
大学病院は教育と研修が中心
大学病院は大学の医学部に付属する教育・研究施設として位置づけられています。医学博士や教授などの肩書きを持つ医師が在籍し、教育や研究、診療を行っています。教育の場ということもあり、研修医が診療に携わることも少なくありません。また、最先端の臨床実験も数多く行われています。大学病院には最新の医療機器や設備が豊富に揃えられているため、治療が難しい病気や診断が困難な患者さんにベストな医療を提供することが可能です。
一般の総合病院は地域医療の中核的存在
総合病院は急性期医療やリハビリテーション、在宅療養など幅広く対応しているのが特徴です。地域に住んでいる住民の暮らしに寄り添った形で医療が提供できるように、近隣の診療所や介護事業所と連携してチーム医療の体制を整えています。最先端の医療を提供している大学病院に比べると医師の数や設備などは不十分ですが、患者さんと密接なコミュニケーションをとりながら診察できるのは総合病院の強みです。
働く側の視点で比べてみよう
大学病院と総合病院の違いを働く側の視点で見ていきましょう。まずは「働き方」についてです。高度な医療を提供する大学病院は、重症の患者さんが集まる傾向があります。大学病院の治療は医師が主導し、看護師や薬剤師などのスタッフは医師の指示にもとづいて治療をサポートしていきます。一方、総合病院は入院の必要がない軽症の患者さんが多く集まるため、看護師などのスタッフは自分である程度判断しながら対応します。
次に「設備」についてです。最近は設備を整えている総合病院も増えています。しかし、ある程度の検査はできても大学病院ほど最先端の設備は揃えていないため、確定診断が難しい場合もあります。一方、大学病院では診断が難しい患者さんを検査する装置や高度な術式にも対応できる手術室を揃えています。常に最先端の医療を発信している大学病院の設備は医療業界で最も進んでいるといえるでしょう。
スタッフとして働くことを考えるなら「福利厚生」や「給料」は気になるポイントでしょう。大学病院は教育施設としての役割も担っているため、研修制度も充実しています。大学で教えている医師に学ぶ機会も多いためキャリアアップを目指す人にとっては魅力的な環境でしょう。また、院内託児所や独身寮といった設備も大学病院の方が充実しています。給料は職種によって違います。医師は肩書によって年収が異なるため大学病院の方が少ない傾向がありますが、看護師は総合病院の方が少なめです。なぜなら、重症の患者さんが多く、様々な設備を揃えている大学病院は病棟によっては危険がつきまとう場合もあり、特殊業務手当や危険手当など基本給以外の手当てがつくからです。