病院内の組織体制
規模によって異なりますが、一般的に診療部門と看護部門、医療技術部門である薬剤科、事務部門の4つから病院組織は成り立っています。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
医師が集まる診療部
診療部は医師が集まっているため医局とも呼ばれています。大きな病院では、内科の医局、外科の医局、というように診療科ごとに構成されています。医師同士が診療情報を共有したり、研修を行ったりします。
これまでの医師を頂点としたピラミッド型の医療は医師が中心であり、看護師などのスタッフは医師のサポートに徹していました。しかし、病気や病態が多様化している今、医療全体が高度化しています。これまで同様、医師は重要な役割を担っていますが、様々な職種がそれぞれの専門性を活かしながら連携する、チーム医療に変わってきているのです。
治療方針を決定し、実際に治療するだけが医師の仕事ではありません。各職種とコミュニケーションをとって情報を収集し、患者さんにフィードバックしながらほかのスタッフに指示を出すのも医師の仕事です。医師の指示する内容やタイミングによって、効果的な医療が提供できるかどうかが決まります。
患者さんのケアが中心の看護部
看護師が集まる看護部の仕事は医師の診察サポートや患者さんのケアです。診療や医療処置を補助したり、患者さんの体を清潔に保つために介助をしたり、患者さんに異常がないかを確認したりします。
看護師や看護助手は、総合病院の中で最もスタッフの人数が多い職種です。患者さんに接する時間も一番長いため、病院の顔として評価されることもあります。
患者さんに医薬品を適切に提供する薬剤科
薬剤科は薬剤の専門家である薬剤師が集まっている場所です。品質が保証された医薬品を有効かつ安全に患者さんに提供するのが主な仕事です。具体的には薬品の管理や医師の処方にもとづいた調剤、患者さんへの指導、薬品情報の入手・管理などです。
治療に有効な薬剤の開発が進められていますが、どのような薬剤にも副作用があります。また、すべての患者さんに必ず有効かつ安全である、という保証もありません。そのため、薬剤を扱う薬剤師には、「副作用を未然に防ぐ」「医薬品の情報を提供し、薬剤に関する知識を普及し教育する」「医薬品が適正に使用されるように監視する」「医師と連携して薬剤情報を提供する」「薬剤を適正に使用して医療費を削減する」などの役割が求められています。
運営をサポートする事務部門
総合病院は医師や看護師、薬剤師など直接医療に携わっている人たちで運営されているわけではありません。患者さんや治療に使う備品の管理、診察費の集計などを行う事務部門も重要な役割を担っています。事務部門といっても、人事課、経理課、庶務課、総務課、施設課などに担当が分かれています。総合病院に勤務しているスタッフが働きやすいように環境を整えることが事務部門の仕事です。